茶箱

Pasted Graphic 177
自らの手で足と対話して作るからこそ、自分に合ったクツが出来るんです。

私は足に問題があり既成靴では足に合わせる事が出来ずに深刻に悩んでいる方のお話を聞く事も多く、注文靴が現代の生活に必要不可欠である事を感じ、日々、思考して注文靴を作っています。自分の技術によって、医師にかからなくてもよい生活を送る事が出来たり、その人々の笑顔が見れるたらそれはとても嬉しい事です。この事で自分の製靴技術の向上にも繋がるし、毎回新しい発見があり、良い勉強になっています。
ただし、それためには、使い手が共にひとつのモノを作る気持ちで取り組む気持ちが無ければ、良いモノは生まれません。そして、その歩くための道具を大切に使っていこうと思ってもらえると作り手としてもやりがいを感じるものです。どんなに一生懸命、しっかりと作り込んでも、履き捨てにするようなつもりで使われたら、修理も行き届かず、保つものも保ちませんよね。

使いたいモノを自分の手で作る技術があればそんな心のすれ違いもなく、合わせる足がその場にあるという、こんなに良い手作り靴の条件はありません。ワークショップに参加してくれているみなさんは実感していると思いますが、フィット感やデザインの好みだって自分に確認すればいい、何より心を込めて自分のために作るから使いやすい、良いモノが完成します。

写真は木型を入れている箱。たまたまガレージにあった茶箱を使っています。軽くて木製で中には亜鉛板が張られ、防虫、防臭、防湿効果もあり、プラスチックのように落として割れることもありません。何よりふたを開けた時の杉の香りにいやされていて、お気に入りです。
古いものでも用即美が備わったモノは、容易に手に入る物より遥かに素晴らしい暮らしの道具になります。私はそういうモノづくりをしていきたいです。