はじめての心

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ワークスペースの一部が通り沿い(といっても細い道ですが。)に面しているので、作業をしていると地元の方に良く声をかけられます。この間は近くの大工さんが「何回かしか履いてないのにこんな風になってしまった」と見るも無惨な靴底が劣化した靴を持って来ました。既成靴の修理はあまりしていませんが、大工さんにはデイジィーの家を建てていただいたりお世話になっていますのでお受けする事になりました。
この修理の仕事を受け、小さな仕事にも人との関わりの大きさや大切さを感じ色々と心に思ったことがあります。
私は「モゲワークショップの専修課程を終了して間もなくディヤーズ(靴教室)の手ほどきを手伝わせていただくことになり、また、まだ代金を頂く程経験のない私でしたが、まわりの方々は興味を持ってくださる事が多く注文靴制作、べビー靴の受注とおかげさまで手が空く事は無く毎日靴づくりを続けて来る事ができました。身近には靴職人の小島さんが道具の揃わない私に大きな手助けもしてくださいました。それから店舗を貸していただけるというオーナーさんとも出会いワークショップの仕事も始めるきっかけができ、今では小さいですが独立した工房で気の合う生徒さんやお客様達と良いモノづくりの場を持つ事ができています。
今、振り返ってみると私はとても恵まれた環境で仕事が進めてこれたのだと、これまで出会い、良い関わりが持てたすべての方々に感謝の気持ちでいっぱいです。
それまで何の力もなかったわたしが、足に合わせて身体に合わせて生活に合わせてクツをつくるという技術によって、新しく社会と関わる術を得たのです。まだまだ問うべき事柄はたくさんですが、こういう「はじめての心」を忘れずにいつまでもクツづくりを続けていきたいです。

写真のクツは2010年の初夏に出来上がった私のクツです。ピンクなんかでつくる事は絶対ないだろうと思っていたけどやっぱりつくって良かったです。秋になって活躍しています。

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